|
|
|
達人紹介コーナー
|
|
今年の3月24日Los AngelesのKodak Theaterで第74回アカデミー賞の発表と授賞式が開催された。我々映画ファンにとっては毎年の映画の締めくくりのために大切な日である。第1回アカデミー賞が発表されたのは1928年だったことは前にも申し上げたと思うが、その時の最優秀作品賞はThe Last CommandとWingsの2作品が授賞、最優秀男優賞はThe Last Commandに出演のEmil Jannings、最優秀女優賞はSeventh Heavensに出演したJanet Gaynorが授賞した。
1928年当時はまだ無声映画時代で、1927年に初めて作られた有声映画The Jazz Singer(と言ってもAl Jolsonが歌う場面だけが有声だった)は不公平という理由で授賞対象から外されてThe Jazz Singerを制作したWarner Brothersがアカデミー名誉賞を授賞したことで解決された。
それ以降ハリウッドは本格的な有声映画時代に入り、1930年代に入ると音楽映画が次々と上映されるようになり、1934年の第7回アカデミー賞から新たに最優秀作曲賞と最優秀歌曲賞の2部門が新設されたことはご承知の通りです。
しかしこの2部門の音楽賞も映画のために作られた物でないとい対象外となる為、ブロードウェイでヒットしたミュージカルのヒット曲等には1938年から最優秀編曲賞が与えられる様になり、その年の最優秀編曲賞は1911年にIrving Berlinが作詞、作曲したAlexander's Ragtime Bandが授賞した。
更に1941年になると最優秀作曲賞が最優秀劇映画音楽賞と最優秀ミュージカル映画音楽賞にわかれ、最優秀ミュージカル音楽賞か最優秀編曲賞のどちらかが授賞することになった。
アカデミー賞を授賞すれば勿論だが、候補作品にノミネートされただけでもその映画や曲の売り上げが増える為に、各映画会社は競って良い作品を作り、優秀な俳優を見つけだして専属スアーとして売り出した時代が長いこと続いた。現在はプロダクションが良い作品を探してきて、企業から金を集めて映画を作り、映画会社の配給網に乗せて放映する時代になったが、アカデミー賞の重要性は今でも続いている。
日本のジャズ界はどちらかと言えば1930年、40年、50年代の音楽が今でも主流になっているが、演奏されている曲の多くは当時の映画で紹介されたものが多く、その意味からも、その曲が演奏されたり、歌われたりした時代背景や映画のストーリーを知れば日本のジャズ・シンガーの皆様ももっとフィーリングを出て、歌に深さをだすことが出来ると私は信じています。勿論、現在のシンガーの皆様は当時の映画を見たことはあまり無いし、たまにNHKのBS放送で昔の映画を放映することがあっても、夜の仕事が多いだけにテープに撮っておく以外に方法は無いのである。
私は海外に行く機会があるたびにレコード屋に飛び込んで昔のアカデミー賞を取った映画のビデオを買ったり、譜面集を仕入れたりしては、機会があるごとにジャズ・シンガーやミュージシャンの皆様にお貸しするようにして、いささかでも皆様のお役に立つべく映画とジャズ・ファンの一人として社会還元をしているつもりであります。
|
|
|
Copyright(C)2002 CPC Co., Ltd. All Rights Reserved |
|