私の健康術スペシャル
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花粉症の中国医学的対処法について
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家庭中国漢方普及会「やさしい家庭中国漢方講座」テキストより要旨抜粋 |
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アレルギー性鼻炎も、気管支喘息などと同じようにアレルギー疾患の一つです。花粉やダニ、ホコリなどがアレルゲンとなって、くしゃみ、鼻水、鼻づまりという鼻の症状がでるのが三大特長です。最近、増加している花粉症もこれに含まれます。アレルギー性疾患は、症状だけをおさえる治療を行っても、根本的な体質が変わらない限り根治はできません。そこで、対症療法的に症状をしずめる「標治」と、体質改善療法である「本治」を並行して行います。
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まず、標治ですが、多くの場合アレルギー性鼻炎の症状は、寒気の強いカゼの初期症状にあたります。加えて、多量の鼻水、鼻づまりなど水分代謝の異常が主症状なので、過剰な水分を取る「キョ湿(きょしつ)」作用の強い小青竜湯(しょうせいりゅうとう)あるいは苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)が一般的に用いられます。
表寒症の症状がひどくなると、熱をおびて「表熱症」に移行することがあります。症状としては、鼻水や痰などの分泌物が濁ったり着色し、鼻や咽の奥、あるいは目の粘膜が赤く腫れ上がるのが特徴です。この場合は熱をさまして、同時に水分代謝を改善する処方を用います。
以上が標治ですが、次に体質改善のための本治について述べましょう。
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アレルギー性鼻炎にかかりやすい体質としては、まず消化器系が弱い人があげられます。胃腸が弱い、食欲がない、下痢をしやすいといった症状は、中国医学では脾虚証(ひきょしょう)にあたります。こういう人はまず脾胃の働きを助ける処方を服用して、体質を改善する必要があります。
また、免疫力、身体の防衛機能が弱っている人も、アレルゲンに過敏に反応します。この場合は肺と胃の機能が弱っていることが多く、肺と胃を共に強める八仙丸(はっせんがん)が一般に用いられます。
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このように、長期的に本治を行いながら、症状が出たときに標治を行う、というのがアレルギー性疾患の基本的な治療ですが、花粉症のように発症に季節性があるものは、症状の著しいときだけ本治と標治を並行し、発作が起こらない時期は本治だけ行うようにします。現代医学では花粉症は治りにくいとされていますが、中国医学の場合、ふつう3〜4年で体質改善ができ、しかも年々症状が軽快するという良い結果が得られます。
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アレルギー性鼻炎の標治(対症療法) |
証 型 |
主な症状 |
処方(漢方) |
表寒症
(カゼの初期) |
鼻水、痰は水っぽく無色透明 |
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげんにんとう)
(胃腸の弱い人に)
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
(冷えが著しいとき) |
表熱証
(カゼの初期・中期) |
鼻水、痰の色が白濁あるいは黄・褐色などに着色し、粘ってくる。
鼻、咽が赤く腫れる |
越婢加朮湯(えつぴかじゅつとう) |
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アレルギー性鼻炎の本治(根本療法) |
証 型 |
主な症状 |
処方(漢方) |
脾虚証
(ひきょしょう) |
胃腸が弱い、食欲がない、下痢をする、肥れない |
香砂六君子湯(こうしゃりつくんしとう)
補中益気湯(ほちゅうえつきとう)
(内蔵下垂・虚弱体質) |
肺腎両虚証
(はいじんりょうきょしょう) |
肺と腎の働きが両方とも虚弱 |
八仙丸(はっせんがん)
(鼻水や痰が多くなったり、むくみがみられる場合は六君子湯を併用する) |
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